ウズベキスタンの基本情報
ウズベキスタン共和国は中央アジアに位置する内陸国で、南はトルクメニスタンと、西と北はカザフスタン、東はキルギスとタジキスタンに囲まれていて、最南部でアフガニスタンと接しています。国土は44万7,400平方キロメートルで日本の約1.2倍です。
人口は3,520万人(2023年)、人種の84%以上をウズベク系が占めるほか、タジク系、カザフ系、カラカルパク系、ロシア系などの人たちも生活しています。宗教は主にイスラム教スンニ派、公用語はウズベク語ですが、ロシア語も広く使われています。
ウズベキスタンの国旗の、三日月と星は「イスラム教のシンボル」、12個の星は「完全無欠さ」を表しています。そして、青はトルコ系民族の伝統色で、「澄み切った空と生命の源である水」を、白は「清く美しい国土と平和」を、緑は「綿花に代表される実り豊かな農業と生命力」を表し、2本の赤い線は「独立と主権を守る強い意志」を象徴しています。
ウズベキスタンに行くには?
日本からウズベキスタンへは、ウズベキスタン航空の直行便が便利。成田〜タシュケント(ウズベキスタンの首都)まで約9時間5分です。ただし、便数が少ないため、中国の北京、韓国のソウルでの乗り継ぎ便を利用したほうがいいかもしれません。
ウズベキスタンに入国するには、入国日から30日間の滞在に限り、日本国籍者のビザは不要です。また、2023年6月現在、パスポート残存有効期限は、ウズベキスタン滞在期間+3カ月以上が必要になります。
余談になりますが、ウズベキスタンの「スタン」とは、ペルシャ語で国や地域を意味するそうです。さらに、この「スタン」がつく国は、古代ペルシャ帝国の影響を受けているとのこと。
さて、そんなウズベキスタンですが、どのような観光地があるのでしょうか?
シルクロードの要衝として知られる青の都「サマルカンド」
ウズベキスタン中東部、サマルカンド州の州都「サマルカンド」は、紀元前6世紀から知られる中央アジア最古の都市で、“サマル”は「人々が出会うこと」、“カンド”は「町」を意味し、シルクロードの要衝として繁栄しました。
荘厳なブルーのイスラム建築がそびえるこの街は、「青の都」「東方の真珠」「イスラム世界の宝石」などと呼ばれ、2001年に世界遺産に登録されました。
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観光の中心となる中世ティムール地区には、レギスタン広場をはじめ、ビビハニム・モスク、グリ・アミール廟、ルハバット廟といった見どころが集まっています。
また、ぜひ立ち寄りたいのが庶民の台所「シヨブバザール」。ナッツやドライフルーツのほか、ナン、お菓子、スパイス、乳製品、衣類などが購入できますよ。
ウズベキスタンの英雄の故郷「シャフリサブス」
サマルカンドから南へ90kmに位置する「シャフリサブス」は、ペルシャ語で「緑の町」という意味を持つ古都です。庭園が多いことからこの名がつけられました。ウズベキスタンで英雄とされているティムールの生誕地でもあります。2000年に「シャフリサブス歴史地区」として世界遺産に登録されました。
ジャハンギールの霊廟
代表的な建造物は、長さ4kmの城壁で囲まれた宮殿、ジャハンギールの霊廟などです。1380年に着工したアク・サライ宮殿は、ティムール一族の建築物のなかで最も大きく、青いタイル装飾が息を呑む美さでしたが、現在は門の一部のみが残っています。
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さらに、アク・サライ宮殿跡の広場の中央には、遠くを見つめ、コートを風になびかせるティムール像も。
サマルカンドからシャフリサブスへ向かうには、タクシーやバスを利用することもできますが、サマルカンド発の日帰りツアーが便利です。
中世のシルクロードへタイムスリップ「ヒヴァ」
ウズベキスタンには4つの世界文化遺産と、カザフスタン、キルギスの国境にまたがる1つの自然遺産がありますが、首都タシュケントから最も遠いのが、1990年に世界遺産に登録された「ヒヴァのイチャンカラ」です。
アムダリヤ川の下流、カラクム砂漠の入り口に位置し、17世紀にヒヴァ・ハン国の都として繁栄した、二重の城壁に守られたオアシス都市で、外側の城壁が「ディシャン・カラ」、内側の城壁とその内部が「イチャン・カラ」と呼ばれています。晴れの日が多く乾燥しているのも特徴です。
イスラム・ホジャ・ミナレット
かつてハーン(王)が住んでいた内城には、モスクとメドレセ(神学校)がそれぞれ20、ミナレット(モスクにある塔)が6基もあります。なかでも、イスラム・ホジャ・ミナレットは約45mもあり、ヒヴァで一番の高さを誇ります。
ムハンマド・アミン・ハーン・メドレセ
中央アジアで最大規模の神学校ムハンマド・アミン・ハーン・メドレセのほか、ハーンと4人の妃の豪華な部屋が並ぶタシュハウリ宮殿、200本以上の柱が立ち並ぶジュマ・モスクも見逃せません。
中央アジア最古のイスラム建築が残る「ブハラ歴史地区」
ウズベキスタンのほぼ中央に位置するブハラ歴史地区は、2000年以上の歴史があります。10世紀から17世紀の中央アジアにおけるイスラムの都市構造がほとんどそのまま残っており、1993年に世界遺産に登録されました。
イスマーイール・サーマーニー廟
この街は、古代からシルクロードの要衝として繁栄。しかし、13世紀のモンゴル軍の侵攻によって破壊されます。その破壊を免れたのが、中央アジア最古のイスラム建築である、イスマーイール・サーマーニー廟です。
カラーン・ミナレット
また、12世紀に日干しレンガを積み上げて建てられた、高さ約45mのカラーン・ミナレットも破壊されなかった建物のひとつで、シルクロードを行き交う隊商の目印になっていたそうです。
アルク城の城壁
そのほか、5世紀から20世紀初頭までブハラの支配者の居城地だった「アルク城」、預言者ヨブがこの地を訪れた際、杖で地面を叩き、水が湧き出したという伝説がのこる「チャシュマ・アユブ」など、見どころがいっぱいです。
ウズベキスタンで人気のスポーツは?
ウズベキスタンの国技は「クラッシュ」です。クラッシュとは、中央アジアのウズベキスタン共和国に伝わる民族格闘技で、投げ技に特化しています。現行ルールでの国際大会が行われるようになったのは1998年からです。また、サッカー、アイスホッケー、バスケットボールなども人気を集めています。
[参考]日本格闘競技連盟
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